ガーミン、ForeAthlete610でランニング! 心拍数、健康維持に適切な運動についてスポーツ生理学の専門家に聞く
サルバトーレマーラ イタリアの有名ブランドですね
電動アシスト自転車ビビ・チャージWで走行した際には、ガーミンのGPS内蔵サイクルコンピューターEdge800Jを試用しましたが、今回は腕時計タイプのGPS内蔵ランニングコンピュータの最上位モデル、ガーミン ForeAthlete610とオプションのハートレート(心拍)センサーを使って健康維持のための運動にトライします。筆者は、取材と近所の買い物に行く以外はほぼ座りっぱなしで、原稿を書いているかネットで情報収集しているか、商売半分趣味半分でゲームをしているかなので、かなり運動不足で生活改善したいと思っています。年末年始、ビビ・チャージWで走り回っていたときは、慢性的な肩こりも軽くなっていたということもありますし、ランニングの効果にも期待してしまいます。
ということで、ForeAthlete610なのですが、ランナー向けのモデルということもあり、小型軽量、ちょっと大きい腕時計といった製品になっております。ForeAthlete610本体とオプションのハートレートセンサー(プレミアムHRセンサー&ストラップ)を使用して、とりあえず自分の心拍数を計測してみました。ハートレートセンサーは、Edge800Jで使用したものと共通の胸部に固定する無線のものです。一番最初に使う際にはForeAthlete610とハートレートセンサーをペアリングするなどの設定が必要ですが、一度設定してしまえば次からはForeAthlete610の電源を入れると心拍数が表示されるようになります。
筆者の場合、まず安静時が78から80、徒歩で87から84、早歩きで91から96、ゆっくり走って107から114、普通に走って146から150、かなりがんばって走って158から164ぐらいでした。でも、これっていったいどういった意味を持つのでしょうか? 実はEdge800Jを試用したときも、心拍数を計測してみたものの、それがどういう意味を持つかまで踏み込むことができなかったという反省がありました。そこで、今回はちゃんとした情報を読者諸兄姉にお伝えしたいということで、スポーツ生理学の専門家に基本的なことから実践的なことまでうかがってまいりました。
●スポーツ生理学の専門家にお話をうかがった
今回、スポーツ生理学の専門家、帝京平成大学 現代ライフ学部 人間文化学科 トレーナー・スポーツ文化コース 准教授で医学博士の藤牧利昭先生にお話をうかがいました。運動と心拍数の関係など、スポーツ生理学では基礎的な部分なのでしょうが、筆者を含めてスポーツ生理学を学んだことのない者には、「なんとなくそうなんだろうなあと思っているけれども、実際、本当のところはどうなんだろう?」という部分が多々あります。そのあたりを、特別な知識を持たずとも分かるように専門用語をなるべく避けて、平易で分かりやすい解説をしていただきました。
藤牧先生は常々、ちゃんと説明すれば誰にでも理解できるような部分まで省略してしまって、安易に答えだけ提示するようなメディアの紹介方法は、「スポーツ科学への不信感」を招きかねないという懸念を抱いておられたそうです。そこで記事では、読者諸兄姉に誤解がないようにきちんと説明したい、という趣旨をご説明して取材を快諾いただきました。
それから、あくまでも健康を維持するために運動するうえで知っておくべき、基礎的な事柄をうかがったのであって、今回、取り上げている機器がどの程度有効であるかテストしていただいたのではない、というのはご注意いただきたい点です。
●運動と心拍数の関係
―― まず、運動しているとき心拍数は上がるというのは分かるのですが、運動の種類によっても違うといいます。どのような違いがあるのでしょうか?
藤牧先生 心臓が全身に血液を送り出すとき、1分間に拍動する回数を心拍数(拍/分)といいます。楽な運動なら心拍数はあまり高くならず、活発な運動で高くなり、激しい運動ではさらに高くなります。歩くのでも、散歩より早歩き、早歩きよりも階段の上りで心拍数が高くなり、山道を荷物を背負って上ればさらに高くなります。ランニングがいちばん分かりやすいのですが、1キロメートルを7分で走ったとき心拍数が110の人が、1キロメートルを6分で走ると心拍数が130だったとすれば、1キロメートルを6分30秒で走るなら心拍数は120ぐらいになります。それが、1キロメートルを5分間で走ると150を超えます。
サッカーやバスケットボール、テニスなどのスポーツでも同じで、攻防の激しい試合をすれば心拍数は高くなり、一般に運動している時の心拍数が高ければ、その運動がハードだということになります。ただし、心拍数が高くなるには、運動を開始してから少し時間がかかりますので、短時間で終わってしまう運動では、運動がきつくても、心拍数はさほど高くなりません。
心拍数は運動強度(激しさ、きつさ)に依存し、時間には依存しません。少し走り慣れた人が、1キロメートルを7分のペースでジョギングを5分行ったときの心拍数が110だとしたら、そのまま、ジョギングを30分続けても、心拍数は110からほとんど上がりません。
―― 年齢でも、運動時の心拍数は変わってくるのでしょうか?
藤牧先生 心拍数には最高心拍数という上限があり、一般的に、年齢とともに最高心拍数は下がります。最高心拍数は、「220マイナス年齢」で推定できますので、40歳なら180とされます。しかし、個人差も大きく、標準偏差は10です。40歳のうち、約3分の2の人の最高心拍数は170から190の範囲ですが、170以下の人、190以上の人もそれぞれ6分の1程度います。この「220マイナス年齢」は良く出てきますが、1960年代ぐらいから国内外の数々の研究成果、統計に基づいて導き出されたスポーツ生理学では広く知られた数値です。
こういった数値が出てくると、「それが絶対正しい」「常識だから」と思い込んでしまう人がいるのですが、あくまでこれは平均的に見てこうなったということです。グラフで表したときも、1本の線になるのではなくて幅のある帯になるんです。こういった数値には個人的な誤差がつきもので、ちゃんと誤差の幅が示されるんですね。そういった情報を正しく読み取ること、グラフでも縦軸と横軸の単位がなんなのかというのを誤解してしまうとまったく意味が違ってしまうので気をつけたい点ですね。
●健康を維持するための適正な運動
―― いま運動の「きつさ」というお話がありましたが、健康を維持するうえで適正な運動の「きつさ」とはどういうものなのでしょうか?
藤牧先生 せっかく運動する習慣があっても、楽過ぎたり、きつ過ぎたりすると効果が上がりません。でも、めんどくさがらずにスポーツ生理学に基づいた正しい考え方でちょっと手間暇かければ、ちゃんと運動の効果が現れるようになるんです。効果のある適正な運動は、運動の「きつさ」を数値化した、「運動強度」を知ることで実現できます。
健康維持のために行う運動として、最も推奨されるのが有酸素運動で、適切な「運動強度」で行うことが重要になります。有酸素運動は連続でも、休憩を取りながらでもトータルの運動量を多くすることで効果が上がりますが、運動が「きつい」と継続できませんから、運動量が減ってしまうのです。激し過ぎる運動は心臓に負担になりますし、疲労が残ってしまい、週3回運動するつもりがついつい週1回、月数回になってしまいがちです。
運動の「きつさ」は、最高心拍数に対する比率で決まります。最高心拍数が200の人が160で運動するときと、最高180の人が144で運動をするときであれば同じ程度の「きつさ」ということができます。しかし、同じ運動をして、Aさんが140、Bさんが150だったとしても、Bさんのほうがきついとは限らないのです。Aさんの最高心拍数が170、Bさんが190なら、Aさんのほうが「きつい」はずです。
適度な運動をする際の目標心拍数の表し方には2種類あります。「その人の最高心拍数に対して何%」という表し方である%HRmax(percent of Maximal Heart Rate)と、心拍予備量(最高心拍数と安静心拍数の差)であるHRR(Heart Rate Reserve)を求めその何%になるかという表し方である%HRRです。
最高心拍数が180、安静心拍数が70なら、心拍予備量は110になります。この人が、心拍数135で運動していたら、75%HRmaxになります。このとき、安静より65(135-70)拍上昇していることになり、それは、心拍予備量の59%(65÷110=0.5909)ですから、59%HRRになります。%HRmax法では安静状態が39%(70÷180=0.388)となります。「今、座っている状態で39%です」というと、ちょっと違和感がありませんか? %HRmax法だと感覚や他の指標とズレが出てしまうんですね。%HRR法であれば安静時は0%になりますから、ちょっと計算が面倒に感じてしまうかもしれませんが、%HRmax法よりも感覚的に分かりやすい指標だといえるでしょう。
健康維持のための運動は、100%の全力に対し50%程度(40から60%)の運動強度が良いとされています。この場合、%HRR法なら125(114から136)%程度で運動すれば良いことになります。一方、%HRmax法では、69%(63から76%)程度になります。
―― 適正な運動をするための、具体的な手順を教えていただけますか?
藤牧先生 年齢40歳、安静心拍数70の場合を例にした、実用的な手順は以下の通りです。
1. 220マイナス年齢で最高心拍数を推定します。
40歳なら、220−40=180となります。
2. 安静心拍数(手首か胸で1分間触診)を測り、心拍予備量を求めます。
安静心拍数が70なら、心拍予備量は180−70=110です。
3. 50%HRRを算出します。
心拍予備量×目標強度+安静心拍数ですので、110×0.5×70=125です。
4. 心拍計を装着して運動し、125で問題ないか確認します。
まず、本人が感覚的に「きつすぎず、楽過ぎず、ややきついの一歩手前くらい」という状態であるかを確認します。次に運動中、呼吸を意識せず会話が可能かを確認します。この2点が問題ないならば適度な運動だといえるでしょう。
もし楽過ぎるなら、+5拍、まだ楽なら、さらに+5拍、もしきつい感じがするなら、-5拍、それでもまだきつければ、さらに-5拍していきます。±15拍(110〜140の間)に収まると思いますが、この際に15上げてもまだ楽だったり、15下げてもまだきつかったりと15以上の差があった場合、念のためスポーツ専門医に相談することをお勧めします。個人差だったということならば良いのですが、心臓の疾患が見つかったりすることがあるためです。
5. その心拍数を目標に、少し長い時間運動を続けます。
目標心拍数が適正ならば、20分以上楽に運動できるはずです。
このように適切な目標心拍数で運動することで、きつ過ぎて運動嫌いになるということがなくなり、運動しても運動の効果が上がらないということがなくなります。ただし、先ほども言ったように、個人差というものが必ずあって例外的に心拍数が上がりにくい人もいます。それに対して、かなり負荷がかかっているのに「目標心拍数に達していないから、もっとやらなきゃ!」とより激しい運動を行うのは危険なんですね。また数値だけを目安にしてしまうと、本当はもうちょっとがんばったほうが効果が上がるのにその手前でやめてしまう、ということにもなりかねません。最初は、「楽でもなく、きつくもない」適度な運動を、できれば30分以上、週3回程度行うのを目標にすると良いのではないでしょうか。
―― ほかに健康維持のための運動をするうえで、注意すべき点はありますか?
藤牧先生 やはり最初は弱い運動から始める。楽な運動を続けるということですね。ウォーキングならば1人でせずに、2人以上で会話しながらすることです。そのとき、普通に会話できるペースならば良いのですが、途切れ途切れになってしまうようなら、ちょっときつい状態、心臓に少し無理がかかっています。ペースを落としてください。この方法は何も使わずにできるのですが、心拍計があれば「ちょっときつい」という状態の心拍数を確認してみます。そこからペースを落とした状態の心拍数も確認しておき、20分なり30分なり続けてもそのままの心拍であれば問題ありません。きついペースで運動を続けていると心拍数は上がります。
運動を続けていると、どんどん慣れてしまいます。ウォーキングを始めた人がいて、最初は5分、10分で息切れしていたものが、1時間歩いてまだ時間があるなら、その後はストレッチや軽い筋トレをしたほうが効果があります。ウォーキング、ジョギングなど有酸素運動と筋トレとストレッチをバランス良く組み合わせるのが良いのです。同じ運動ばかりして身体が慣れてくるとエネルギー消費量が減ってきて、同じ時間やっても効果が薄くなるんですね。筋肉が弱くなると骨も弱くなるのですが、人間の身体はおもしろいもので、筋肉を使うとそれだけ骨にも力がかかるので骨も強くなっていくんです。ウォーキングだけだと、あまり筋肉が使われないので骨の強さも維持てきないんですね。ストレッチも難しいことはないんです。イスに座ったまま、ほかのイスに脚を載せて伸ばすだけでも普段なにもしていない人にとっては、十分なストレッチになっているんですね。
水分に関しては、脱水症状にならないようにスポーツ飲料などを飲むのが良いのですが、これも程度問題です。通常の20、30分のトレーニングならまずないでしょうが、長距離トレーニングなどであまりに水分を補給しすぎてそれがただの水だったりすると、一時的に血液中のナトリウムが欠乏して低ナトリウム血症になる恐れもあります。特に5時間、6時間も走るようなマラソンランナーは、汗で2リッター水分を失って、水を3リッター補給して、走る前より体重が増えていました、ということも実際にありますから注意が必要ですね。何事もほどほどにということです。
あとは頭で考えず、身体の反応に意識を向けることです。「なんらかの違和感を感じる」「ちょっと気分が悪い」というときは、休憩を取ったり、その日の運動は休んだりということですね。心拍計があれば、運動中に「いつもと同じ運動をしているのに心拍数が高い」とか、運動後に「いつもと同じ時間で心拍数が戻らない」とか自分の身体の疲労度や不調に気づくこともできます。
いろいろな種類の運動を組み合わせるのも効果的ですね。ランニングをしたりすると着地衝撃によって、筋肉の「線維」や毛細血管が破壊され、人体がそれを修復するのに少し時間がかかります。ですから、毎日ランニングをしていると修復の時間がなくなってしまうんですね。そこで、ランニングをした次の日には自転車で走るとか水泳をするとか、ランニングに比べて筋肉に負担がかからない運動を組み合わせるのです。ハードな運動をする日は、週3日ぐらいにするんです。
ちょっとがんばったなというときは、運動後のケアもしたほうが良いでしょう。軽めに包帯を巻いて固定したり、軽く冷やしたり、心臓より高い位置に上げたりといった怪我の応急処置と同じことを運動で痛んだ毛細血管や筋肉をいたわるためにするんです。ピッチャーが投球後にアイシングするのと同じですね。そうすることで疲れが残りにくくなったり、回復が早くなったりするのです。
―― ダイエットに効果的な運動についてはどう考えれば良いのでしょうか?
藤牧先生 きつい運動では体内の糖質が使われ脂肪は使われないといわれますが、連日長時間運動するスポーツ選手でもない限り、きつさとダイエット効果はあまり関係ないのです。とにかく念頭に置くべきは、トータルカロリー消費量です。運動は細切れでも、1回に集中的にしてもトータルの運動量が同じなら一緒なんですね。
ジョギングしたときのカロリー消費量は体重×距離で算出できますから、体重60キログラムの人が1000メートル走ったら60カロリー消費しますが、一気に走ったら疲れて、それだけの消費で終わってしまいがちです。ですから、走るのが得意な人ならゆっくりペースで長く走るのが良いですね。それができないなら、休み休み走れば良いのです。
例えば、軽く100メートル走り100メートル歩く、また100メートル走り100メートル歩くというのを20セット繰り返したとします。そうすると単純に走った分だけ考えても、トータル2000メートル、消費カロリーは120カロリー、歩いた分もカロリーは消費されるわけですから、その分を計算すると200カロリー程度になるんですね。本当にまったく運動していない人なら、「ウォーキングしてみて、無理がなければちょっと走ってみる」ところから始めると良いでしょう。このことからも、ダイエットにも適正な強度(楽過ぎず、きつ過ぎず)の運動が効果的ということがいえます。
東北大学が行った調査で運動習慣のある人はない人に比べて、3%医療費が安いというデータもあります。国民個人個人の健康も大事なことですが、日本の未来のためにも国民一人一人が適正な運動を心がける必要があるんですね。
―― 本格的に取り組んでいる、ランナーへのアドバイスもお願いします。
藤牧先生 スポーツ生理学的にいうと、「楽でもなく、きつくもない」適切な運動強度は血中乳酸値で決定します。30分以上続けても血中乳酸値が上がってこなければ楽な運動、そうでなければ激しい運動ということです。多くの研究からも、運動を続けて血中乳酸が上がるか上がらないかの境目あたりが、適度な運動であることが分かっています。では血中乳酸を計測してみようと思っても、簡単に計測できないのが難点です。心拍数であれば胸に手を当てたり、手首(撓骨動脈)やくび(頸動脈)に指を当てたりして計測できますし、胸に電極付きのベルトを巻き、腕時計式に心拍数を見られる心拍計も市販されています。
説明してきたように心拍数は、運動の強度と比例関係にありますから、運動時の心拍数と血中乳酸を同時計測して、血中乳酸が上がるか上がらないかの境目に相当する心拍数を見つけるという方法もあります。マラソン、自転車レース、トライアスロンなどに本気で取り組みたい人はいちど測定してもらうと良いのですが、体育系大学のスポーツ生理学研究室などでないと難しいのです。
基本的に個人の方の測定は行っていないのですが、関東地方でスポーツ指導をしていたり学校で部活動の顧問をしてらっしゃる方が部員の測定をしたい場合、あるいは個人でも本格的にその種目に取り組んでいてプロのスポーツ選手を目指しているといった場合であれば、私が以前勤務していた、横浜市スポーツ医科学センターが対応できる場合もありますので相談してみると良いと思います。
また、乳酸にこだわらず、無理なく長時間続けられる心拍数を見つけたい人は、ランニング学会の主催するランニングクラブに入会すれば、適切なアドバイスがもらえると思います。
それから、心拍計をうまく使えばマラソンを完走するのは難しくないのです。自分の目標心拍数を確認しながら走るんですね。目安がないと、走り始めの元気なうちは「今日は調子がいいな!」と感じるものなのでオーバースピードでも気がつかないんですね。本人は気分が良かったりして。でも、実はそんなとき心拍数はいつもより高かったりするものなんです。もちろん自分の身体の感覚は大事ですが、人間、調子が良いと思うとついついやりすぎてしまいがちですから、正しいスポーツ生理学の知識を持って心拍数などの指標を活用するのが良いですね。
●ForeAthlete610で実際にトレーニング
藤牧先生のお話で漠然としていた、心拍数と運動の関係、健康を維持するための適切な運動とはなんぞやというものが、門外漢の筆者にも分かってまいりました。次はいよいよForeAthlete610を使用した実践に移りたいと思います。しかし、腕を振るランニングでは自転車に比べて表示をちょくちょく確認しにくいということがあります。走り慣れているランナーならともかく、筆者はまともに走るのは学生時代以来、何十年ぶりか? という状態ですからなおさらです。どうしようかとForeAthlete610に年齢や体重など設定しながらマニュアルを見ていたところ、藤牧先生がおすすめだとおっしゃっていたのと同じような、休み休み走るインターバルトレーニングモードがあるのを見つけました。
実際の操作は、タッチパネルを「トレーニング」「ワークアウト」「インターバル」「トレーニング開始」とタッチするとトレーニングが始まるというものです。特に難しいことはないのですが、GPSが受信状態になるまで数分要します。このあたり、GPS機器を使用したことがある読者諸兄姉ならば言わずもがなでしょうが、空の見えない場所では衛星の電波を受信できませんから注意が必要です。GPSさえ受信されていれば、あとはどんなコースを走っても走行距離が自動的にカウントダウンされていきますから、何かを距離の目安にして同じコースを延々行ったり来たりする必要はありません。
●心拍数の変化はパソコンで確認可能
さて、天候不順などあって今回、データを取ることができたのは2日分になります。まず1日目は、自宅から出て自動車が来ない道へ、来ない道へと走って行き、最終的には歩行者用の遊歩道のような道に入って行ったり来たりしました。どこかに「走りに行くぞ!」と気合いを入れなくても、自宅を出てすぐ走り出せるのがものぐさな筆者にはありがたいところでした。
そして2日目は、休日で保育園が休みなためエネルギーありあまている娘を引っ張り出して近所の公園をいっしょにぐるぐる周回しました。筆者は学生時代から、グラウンドなど同じコースをぐるぐる走るというのがすぐに飽きてしまい苦手だったのですが、走れば走るほどForeAthlete610の表示がどんどん減っていくので、それを見ながら楽しく走ることができました。
ただ、ゆっくり自分のペースで走れば大丈夫だろうと、ほとんど何も考えず初期設定のまま1000メートルを4本、4000メートルを2日間連続で走ったのは運動不足の筆者にとっては無謀だったのかもしれません。走った次の日から2日間ぐらいは背中と腰から下の関節がちょっと痛み、全身が軽い筋肉痛になってしまい、走るというのは全身運動なのだということを身をもって知ることとなりました。ただ3日目ぐらいからは関節の痛みもとれ、血行が良くなったのか肩こりがずいぶん軽くなりました。
肝心の心拍数なのですが、筆者は走っているだけで精一杯という状態でトレーニング中はほとんど確認できませんでした。でも、大丈夫です。先述のごとく、ForeAthlete610にはUSBメモリ状のデータ転送ユニット、USB ANTスティックが同梱されておりパソコンにデータを送信することができるのです。
このように、走っている際には走った距離やタイムしか確認していなかったとしても、後からそのときの心拍数を照らし合わせて確認することができます。走りながら心拍数が確認できるということに加えて、記録にも残すことができるForeAthlete610は、マラソン愛好家だけでなく、健康を維持するためにこれから走りだしたい人にとっても有効な機器であるといえるのではないでしょうか。藤牧先生がおっしゃるように、心拍数などの指標があれば有効なトレーニングをする助けになりますし、日々データが蓄積していくのを見るだけでも継続のモチベーションになるのではないでしょうか。筆者も2日間だけのデータだけでなく、もっと続けてデータを比較してみたかったと思いました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120515-00000016-it_gadget-sci
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
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電動アシスト自転車ビビ・チャージWで走行した際には、ガーミンのGPS内蔵サイクルコンピューターEdge800Jを試用しましたが、今回は腕時計タイプのGPS内蔵ランニングコンピュータの最上位モデル、ガーミン ForeAthlete610とオプションのハートレート(心拍)センサーを使って健康維持のための運動にトライします。筆者は、取材と近所の買い物に行く以外はほぼ座りっぱなしで、原稿を書いているかネットで情報収集しているか、商売半分趣味半分でゲームをしているかなので、かなり運動不足で生活改善したいと思っています。年末年始、ビビ・チャージWで走り回っていたときは、慢性的な肩こりも軽くなっていたということもありますし、ランニングの効果にも期待してしまいます。
ということで、ForeAthlete610なのですが、ランナー向けのモデルということもあり、小型軽量、ちょっと大きい腕時計といった製品になっております。ForeAthlete610本体とオプションのハートレートセンサー(プレミアムHRセンサー&ストラップ)を使用して、とりあえず自分の心拍数を計測してみました。ハートレートセンサーは、Edge800Jで使用したものと共通の胸部に固定する無線のものです。一番最初に使う際にはForeAthlete610とハートレートセンサーをペアリングするなどの設定が必要ですが、一度設定してしまえば次からはForeAthlete610の電源を入れると心拍数が表示されるようになります。
筆者の場合、まず安静時が78から80、徒歩で87から84、早歩きで91から96、ゆっくり走って107から114、普通に走って146から150、かなりがんばって走って158から164ぐらいでした。でも、これっていったいどういった意味を持つのでしょうか? 実はEdge800Jを試用したときも、心拍数を計測してみたものの、それがどういう意味を持つかまで踏み込むことができなかったという反省がありました。そこで、今回はちゃんとした情報を読者諸兄姉にお伝えしたいということで、スポーツ生理学の専門家に基本的なことから実践的なことまでうかがってまいりました。
●スポーツ生理学の専門家にお話をうかがった
今回、スポーツ生理学の専門家、帝京平成大学 現代ライフ学部 人間文化学科 トレーナー・スポーツ文化コース 准教授で医学博士の藤牧利昭先生にお話をうかがいました。運動と心拍数の関係など、スポーツ生理学では基礎的な部分なのでしょうが、筆者を含めてスポーツ生理学を学んだことのない者には、「なんとなくそうなんだろうなあと思っているけれども、実際、本当のところはどうなんだろう?」という部分が多々あります。そのあたりを、特別な知識を持たずとも分かるように専門用語をなるべく避けて、平易で分かりやすい解説をしていただきました。
藤牧先生は常々、ちゃんと説明すれば誰にでも理解できるような部分まで省略してしまって、安易に答えだけ提示するようなメディアの紹介方法は、「スポーツ科学への不信感」を招きかねないという懸念を抱いておられたそうです。そこで記事では、読者諸兄姉に誤解がないようにきちんと説明したい、という趣旨をご説明して取材を快諾いただきました。
それから、あくまでも健康を維持するために運動するうえで知っておくべき、基礎的な事柄をうかがったのであって、今回、取り上げている機器がどの程度有効であるかテストしていただいたのではない、というのはご注意いただきたい点です。
●運動と心拍数の関係
―― まず、運動しているとき心拍数は上がるというのは分かるのですが、運動の種類によっても違うといいます。どのような違いがあるのでしょうか?
藤牧先生 心臓が全身に血液を送り出すとき、1分間に拍動する回数を心拍数(拍/分)といいます。楽な運動なら心拍数はあまり高くならず、活発な運動で高くなり、激しい運動ではさらに高くなります。歩くのでも、散歩より早歩き、早歩きよりも階段の上りで心拍数が高くなり、山道を荷物を背負って上ればさらに高くなります。ランニングがいちばん分かりやすいのですが、1キロメートルを7分で走ったとき心拍数が110の人が、1キロメートルを6分で走ると心拍数が130だったとすれば、1キロメートルを6分30秒で走るなら心拍数は120ぐらいになります。それが、1キロメートルを5分間で走ると150を超えます。
サッカーやバスケットボール、テニスなどのスポーツでも同じで、攻防の激しい試合をすれば心拍数は高くなり、一般に運動している時の心拍数が高ければ、その運動がハードだということになります。ただし、心拍数が高くなるには、運動を開始してから少し時間がかかりますので、短時間で終わってしまう運動では、運動がきつくても、心拍数はさほど高くなりません。
心拍数は運動強度(激しさ、きつさ)に依存し、時間には依存しません。少し走り慣れた人が、1キロメートルを7分のペースでジョギングを5分行ったときの心拍数が110だとしたら、そのまま、ジョギングを30分続けても、心拍数は110からほとんど上がりません。
―― 年齢でも、運動時の心拍数は変わってくるのでしょうか?
藤牧先生 心拍数には最高心拍数という上限があり、一般的に、年齢とともに最高心拍数は下がります。最高心拍数は、「220マイナス年齢」で推定できますので、40歳なら180とされます。しかし、個人差も大きく、標準偏差は10です。40歳のうち、約3分の2の人の最高心拍数は170から190の範囲ですが、170以下の人、190以上の人もそれぞれ6分の1程度います。この「220マイナス年齢」は良く出てきますが、1960年代ぐらいから国内外の数々の研究成果、統計に基づいて導き出されたスポーツ生理学では広く知られた数値です。
こういった数値が出てくると、「それが絶対正しい」「常識だから」と思い込んでしまう人がいるのですが、あくまでこれは平均的に見てこうなったということです。グラフで表したときも、1本の線になるのではなくて幅のある帯になるんです。こういった数値には個人的な誤差がつきもので、ちゃんと誤差の幅が示されるんですね。そういった情報を正しく読み取ること、グラフでも縦軸と横軸の単位がなんなのかというのを誤解してしまうとまったく意味が違ってしまうので気をつけたい点ですね。
●健康を維持するための適正な運動
―― いま運動の「きつさ」というお話がありましたが、健康を維持するうえで適正な運動の「きつさ」とはどういうものなのでしょうか?
藤牧先生 せっかく運動する習慣があっても、楽過ぎたり、きつ過ぎたりすると効果が上がりません。でも、めんどくさがらずにスポーツ生理学に基づいた正しい考え方でちょっと手間暇かければ、ちゃんと運動の効果が現れるようになるんです。効果のある適正な運動は、運動の「きつさ」を数値化した、「運動強度」を知ることで実現できます。
健康維持のために行う運動として、最も推奨されるのが有酸素運動で、適切な「運動強度」で行うことが重要になります。有酸素運動は連続でも、休憩を取りながらでもトータルの運動量を多くすることで効果が上がりますが、運動が「きつい」と継続できませんから、運動量が減ってしまうのです。激し過ぎる運動は心臓に負担になりますし、疲労が残ってしまい、週3回運動するつもりがついつい週1回、月数回になってしまいがちです。
運動の「きつさ」は、最高心拍数に対する比率で決まります。最高心拍数が200の人が160で運動するときと、最高180の人が144で運動をするときであれば同じ程度の「きつさ」ということができます。しかし、同じ運動をして、Aさんが140、Bさんが150だったとしても、Bさんのほうがきついとは限らないのです。Aさんの最高心拍数が170、Bさんが190なら、Aさんのほうが「きつい」はずです。
適度な運動をする際の目標心拍数の表し方には2種類あります。「その人の最高心拍数に対して何%」という表し方である%HRmax(percent of Maximal Heart Rate)と、心拍予備量(最高心拍数と安静心拍数の差)であるHRR(Heart Rate Reserve)を求めその何%になるかという表し方である%HRRです。
最高心拍数が180、安静心拍数が70なら、心拍予備量は110になります。この人が、心拍数135で運動していたら、75%HRmaxになります。このとき、安静より65(135-70)拍上昇していることになり、それは、心拍予備量の59%(65÷110=0.5909)ですから、59%HRRになります。%HRmax法では安静状態が39%(70÷180=0.388)となります。「今、座っている状態で39%です」というと、ちょっと違和感がありませんか? %HRmax法だと感覚や他の指標とズレが出てしまうんですね。%HRR法であれば安静時は0%になりますから、ちょっと計算が面倒に感じてしまうかもしれませんが、%HRmax法よりも感覚的に分かりやすい指標だといえるでしょう。
健康維持のための運動は、100%の全力に対し50%程度(40から60%)の運動強度が良いとされています。この場合、%HRR法なら125(114から136)%程度で運動すれば良いことになります。一方、%HRmax法では、69%(63から76%)程度になります。
―― 適正な運動をするための、具体的な手順を教えていただけますか?
藤牧先生 年齢40歳、安静心拍数70の場合を例にした、実用的な手順は以下の通りです。
1. 220マイナス年齢で最高心拍数を推定します。
40歳なら、220−40=180となります。
2. 安静心拍数(手首か胸で1分間触診)を測り、心拍予備量を求めます。
安静心拍数が70なら、心拍予備量は180−70=110です。
3. 50%HRRを算出します。
心拍予備量×目標強度+安静心拍数ですので、110×0.5×70=125です。
4. 心拍計を装着して運動し、125で問題ないか確認します。
まず、本人が感覚的に「きつすぎず、楽過ぎず、ややきついの一歩手前くらい」という状態であるかを確認します。次に運動中、呼吸を意識せず会話が可能かを確認します。この2点が問題ないならば適度な運動だといえるでしょう。
もし楽過ぎるなら、+5拍、まだ楽なら、さらに+5拍、もしきつい感じがするなら、-5拍、それでもまだきつければ、さらに-5拍していきます。±15拍(110〜140の間)に収まると思いますが、この際に15上げてもまだ楽だったり、15下げてもまだきつかったりと15以上の差があった場合、念のためスポーツ専門医に相談することをお勧めします。個人差だったということならば良いのですが、心臓の疾患が見つかったりすることがあるためです。
5. その心拍数を目標に、少し長い時間運動を続けます。
目標心拍数が適正ならば、20分以上楽に運動できるはずです。
このように適切な目標心拍数で運動することで、きつ過ぎて運動嫌いになるということがなくなり、運動しても運動の効果が上がらないということがなくなります。ただし、先ほども言ったように、個人差というものが必ずあって例外的に心拍数が上がりにくい人もいます。それに対して、かなり負荷がかかっているのに「目標心拍数に達していないから、もっとやらなきゃ!」とより激しい運動を行うのは危険なんですね。また数値だけを目安にしてしまうと、本当はもうちょっとがんばったほうが効果が上がるのにその手前でやめてしまう、ということにもなりかねません。最初は、「楽でもなく、きつくもない」適度な運動を、できれば30分以上、週3回程度行うのを目標にすると良いのではないでしょうか。
―― ほかに健康維持のための運動をするうえで、注意すべき点はありますか?
藤牧先生 やはり最初は弱い運動から始める。楽な運動を続けるということですね。ウォーキングならば1人でせずに、2人以上で会話しながらすることです。そのとき、普通に会話できるペースならば良いのですが、途切れ途切れになってしまうようなら、ちょっときつい状態、心臓に少し無理がかかっています。ペースを落としてください。この方法は何も使わずにできるのですが、心拍計があれば「ちょっときつい」という状態の心拍数を確認してみます。そこからペースを落とした状態の心拍数も確認しておき、20分なり30分なり続けてもそのままの心拍であれば問題ありません。きついペースで運動を続けていると心拍数は上がります。
運動を続けていると、どんどん慣れてしまいます。ウォーキングを始めた人がいて、最初は5分、10分で息切れしていたものが、1時間歩いてまだ時間があるなら、その後はストレッチや軽い筋トレをしたほうが効果があります。ウォーキング、ジョギングなど有酸素運動と筋トレとストレッチをバランス良く組み合わせるのが良いのです。同じ運動ばかりして身体が慣れてくるとエネルギー消費量が減ってきて、同じ時間やっても効果が薄くなるんですね。筋肉が弱くなると骨も弱くなるのですが、人間の身体はおもしろいもので、筋肉を使うとそれだけ骨にも力がかかるので骨も強くなっていくんです。ウォーキングだけだと、あまり筋肉が使われないので骨の強さも維持てきないんですね。ストレッチも難しいことはないんです。イスに座ったまま、ほかのイスに脚を載せて伸ばすだけでも普段なにもしていない人にとっては、十分なストレッチになっているんですね。
水分に関しては、脱水症状にならないようにスポーツ飲料などを飲むのが良いのですが、これも程度問題です。通常の20、30分のトレーニングならまずないでしょうが、長距離トレーニングなどであまりに水分を補給しすぎてそれがただの水だったりすると、一時的に血液中のナトリウムが欠乏して低ナトリウム血症になる恐れもあります。特に5時間、6時間も走るようなマラソンランナーは、汗で2リッター水分を失って、水を3リッター補給して、走る前より体重が増えていました、ということも実際にありますから注意が必要ですね。何事もほどほどにということです。
あとは頭で考えず、身体の反応に意識を向けることです。「なんらかの違和感を感じる」「ちょっと気分が悪い」というときは、休憩を取ったり、その日の運動は休んだりということですね。心拍計があれば、運動中に「いつもと同じ運動をしているのに心拍数が高い」とか、運動後に「いつもと同じ時間で心拍数が戻らない」とか自分の身体の疲労度や不調に気づくこともできます。
いろいろな種類の運動を組み合わせるのも効果的ですね。ランニングをしたりすると着地衝撃によって、筋肉の「線維」や毛細血管が破壊され、人体がそれを修復するのに少し時間がかかります。ですから、毎日ランニングをしていると修復の時間がなくなってしまうんですね。そこで、ランニングをした次の日には自転車で走るとか水泳をするとか、ランニングに比べて筋肉に負担がかからない運動を組み合わせるのです。ハードな運動をする日は、週3日ぐらいにするんです。
ちょっとがんばったなというときは、運動後のケアもしたほうが良いでしょう。軽めに包帯を巻いて固定したり、軽く冷やしたり、心臓より高い位置に上げたりといった怪我の応急処置と同じことを運動で痛んだ毛細血管や筋肉をいたわるためにするんです。ピッチャーが投球後にアイシングするのと同じですね。そうすることで疲れが残りにくくなったり、回復が早くなったりするのです。
―― ダイエットに効果的な運動についてはどう考えれば良いのでしょうか?
藤牧先生 きつい運動では体内の糖質が使われ脂肪は使われないといわれますが、連日長時間運動するスポーツ選手でもない限り、きつさとダイエット効果はあまり関係ないのです。とにかく念頭に置くべきは、トータルカロリー消費量です。運動は細切れでも、1回に集中的にしてもトータルの運動量が同じなら一緒なんですね。
ジョギングしたときのカロリー消費量は体重×距離で算出できますから、体重60キログラムの人が1000メートル走ったら60カロリー消費しますが、一気に走ったら疲れて、それだけの消費で終わってしまいがちです。ですから、走るのが得意な人ならゆっくりペースで長く走るのが良いですね。それができないなら、休み休み走れば良いのです。
例えば、軽く100メートル走り100メートル歩く、また100メートル走り100メートル歩くというのを20セット繰り返したとします。そうすると単純に走った分だけ考えても、トータル2000メートル、消費カロリーは120カロリー、歩いた分もカロリーは消費されるわけですから、その分を計算すると200カロリー程度になるんですね。本当にまったく運動していない人なら、「ウォーキングしてみて、無理がなければちょっと走ってみる」ところから始めると良いでしょう。このことからも、ダイエットにも適正な強度(楽過ぎず、きつ過ぎず)の運動が効果的ということがいえます。
東北大学が行った調査で運動習慣のある人はない人に比べて、3%医療費が安いというデータもあります。国民個人個人の健康も大事なことですが、日本の未来のためにも国民一人一人が適正な運動を心がける必要があるんですね。
―― 本格的に取り組んでいる、ランナーへのアドバイスもお願いします。
藤牧先生 スポーツ生理学的にいうと、「楽でもなく、きつくもない」適切な運動強度は血中乳酸値で決定します。30分以上続けても血中乳酸値が上がってこなければ楽な運動、そうでなければ激しい運動ということです。多くの研究からも、運動を続けて血中乳酸が上がるか上がらないかの境目あたりが、適度な運動であることが分かっています。では血中乳酸を計測してみようと思っても、簡単に計測できないのが難点です。心拍数であれば胸に手を当てたり、手首(撓骨動脈)やくび(頸動脈)に指を当てたりして計測できますし、胸に電極付きのベルトを巻き、腕時計式に心拍数を見られる心拍計も市販されています。
説明してきたように心拍数は、運動の強度と比例関係にありますから、運動時の心拍数と血中乳酸を同時計測して、血中乳酸が上がるか上がらないかの境目に相当する心拍数を見つけるという方法もあります。マラソン、自転車レース、トライアスロンなどに本気で取り組みたい人はいちど測定してもらうと良いのですが、体育系大学のスポーツ生理学研究室などでないと難しいのです。
基本的に個人の方の測定は行っていないのですが、関東地方でスポーツ指導をしていたり学校で部活動の顧問をしてらっしゃる方が部員の測定をしたい場合、あるいは個人でも本格的にその種目に取り組んでいてプロのスポーツ選手を目指しているといった場合であれば、私が以前勤務していた、横浜市スポーツ医科学センターが対応できる場合もありますので相談してみると良いと思います。
また、乳酸にこだわらず、無理なく長時間続けられる心拍数を見つけたい人は、ランニング学会の主催するランニングクラブに入会すれば、適切なアドバイスがもらえると思います。
それから、心拍計をうまく使えばマラソンを完走するのは難しくないのです。自分の目標心拍数を確認しながら走るんですね。目安がないと、走り始めの元気なうちは「今日は調子がいいな!」と感じるものなのでオーバースピードでも気がつかないんですね。本人は気分が良かったりして。でも、実はそんなとき心拍数はいつもより高かったりするものなんです。もちろん自分の身体の感覚は大事ですが、人間、調子が良いと思うとついついやりすぎてしまいがちですから、正しいスポーツ生理学の知識を持って心拍数などの指標を活用するのが良いですね。
●ForeAthlete610で実際にトレーニング
藤牧先生のお話で漠然としていた、心拍数と運動の関係、健康を維持するための適切な運動とはなんぞやというものが、門外漢の筆者にも分かってまいりました。次はいよいよForeAthlete610を使用した実践に移りたいと思います。しかし、腕を振るランニングでは自転車に比べて表示をちょくちょく確認しにくいということがあります。走り慣れているランナーならともかく、筆者はまともに走るのは学生時代以来、何十年ぶりか? という状態ですからなおさらです。どうしようかとForeAthlete610に年齢や体重など設定しながらマニュアルを見ていたところ、藤牧先生がおすすめだとおっしゃっていたのと同じような、休み休み走るインターバルトレーニングモードがあるのを見つけました。
実際の操作は、タッチパネルを「トレーニング」「ワークアウト」「インターバル」「トレーニング開始」とタッチするとトレーニングが始まるというものです。特に難しいことはないのですが、GPSが受信状態になるまで数分要します。このあたり、GPS機器を使用したことがある読者諸兄姉ならば言わずもがなでしょうが、空の見えない場所では衛星の電波を受信できませんから注意が必要です。GPSさえ受信されていれば、あとはどんなコースを走っても走行距離が自動的にカウントダウンされていきますから、何かを距離の目安にして同じコースを延々行ったり来たりする必要はありません。
●心拍数の変化はパソコンで確認可能
さて、天候不順などあって今回、データを取ることができたのは2日分になります。まず1日目は、自宅から出て自動車が来ない道へ、来ない道へと走って行き、最終的には歩行者用の遊歩道のような道に入って行ったり来たりしました。どこかに「走りに行くぞ!」と気合いを入れなくても、自宅を出てすぐ走り出せるのがものぐさな筆者にはありがたいところでした。
そして2日目は、休日で保育園が休みなためエネルギーありあまている娘を引っ張り出して近所の公園をいっしょにぐるぐる周回しました。筆者は学生時代から、グラウンドなど同じコースをぐるぐる走るというのがすぐに飽きてしまい苦手だったのですが、走れば走るほどForeAthlete610の表示がどんどん減っていくので、それを見ながら楽しく走ることができました。
ただ、ゆっくり自分のペースで走れば大丈夫だろうと、ほとんど何も考えず初期設定のまま1000メートルを4本、4000メートルを2日間連続で走ったのは運動不足の筆者にとっては無謀だったのかもしれません。走った次の日から2日間ぐらいは背中と腰から下の関節がちょっと痛み、全身が軽い筋肉痛になってしまい、走るというのは全身運動なのだということを身をもって知ることとなりました。ただ3日目ぐらいからは関節の痛みもとれ、血行が良くなったのか肩こりがずいぶん軽くなりました。
肝心の心拍数なのですが、筆者は走っているだけで精一杯という状態でトレーニング中はほとんど確認できませんでした。でも、大丈夫です。先述のごとく、ForeAthlete610にはUSBメモリ状のデータ転送ユニット、USB ANTスティックが同梱されておりパソコンにデータを送信することができるのです。
このように、走っている際には走った距離やタイムしか確認していなかったとしても、後からそのときの心拍数を照らし合わせて確認することができます。走りながら心拍数が確認できるということに加えて、記録にも残すことができるForeAthlete610は、マラソン愛好家だけでなく、健康を維持するためにこれから走りだしたい人にとっても有効な機器であるといえるのではないでしょうか。藤牧先生がおっしゃるように、心拍数などの指標があれば有効なトレーニングをする助けになりますし、日々データが蓄積していくのを見るだけでも継続のモチベーションになるのではないでしょうか。筆者も2日間だけのデータだけでなく、もっと続けてデータを比較してみたかったと思いました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120515-00000016-it_gadget-sci
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